個展:Slightly Elsewhere — Polka Galerie

Kosuke Okahara's contemporary art background video thumbnail showcasing "unperceived existence"

このたび、パリの Polka Galerie にて、個展 「Slightly Elsewhere」 を開催します。会期は2026年1月23日〜2月21日です。本シリーズは、沖縄に折り重なる社会的・歴史的現実を見つめながら、“見えていること” と “実際に知覚していること” のあいだにある揺らぎを探るものです。作家自身が紙づくりからすべて手作業によって制作した大型作品を通して、「私たちは見ているようで、実は知覚していない」という現代的なパラドックスを浮かび上がらせます。

シリーズについて

私たちは見ている。しかし、知覚していない。

Slightly Elsewhere は、現代における視覚の条件そのものから出発しています。

絶え間ないイメージの流通によって規定された時代において、可視性はもはや知覚を保証しません。圧倒的に存在しているものが、心理的には中和され、真に経験されることのないまま集団意識に吸収されてしまうことがあります。本シリーズでは、現実のイメージをさらに生産するのではなく、現実がどのような条件のもとで知覚的に麻痺していくのかを問い直します。

各作品は、作家自身が漉いた和紙に乳剤を手作業で塗布して制作されています。機械的複製性によって定義されてきた写真というメディウムに、時間、身体的労働、そして偶然性を再導入することで、イメージは安定した情報ではなく、不安定な物質となります。紙の繊維は光を拡散させ、階調は揺らぎ、イメージは完全な解像を拒みます。明晰さをあえて揺るがすことで、岡原は写真というメディウムに継承されてきた権威を問い直します。鑑賞者はもはや情報の受け手ではなく、意味の構築に参与する主体として位置づけられます。

写真を記憶の透明な媒介として扱うのではなく、岡原はそれを「抵抗するオブジェ」として取り戻します。それは、「見ることが知ることである」という前提への抵抗であり、「情報が知覚を成立させる」という前提そのものへの拒絶でもあります。

Slightly Elsewhere は、歴史の痕跡が刻まれた巨大な構造物や場所を含んでいます。それらは疑いようもなく存在しているにもかかわらず、しばしば認識の背景へと退いていきます。本作は、「見ること」と「知覚すること」のあいだにある脆い距離を物質化する試みです。

このようにして Slightly Elsewhere は、物質性、複製性、そして知覚の政治性をめぐる現代的な議論の内部に自らを位置づけています。同時に、無限の情報が氾濫する時代において、ますます希少になりつつあるもの――身体を伴った注意という行為――を強く要求しています。

和紙と大型プリント

全工程が手作業であるため、同じ作品は二度と生まれません本展では複数のユニークプリントを展示し、その中にはシリーズのために制作した3.2×1.2メートルの作品も含まれます。素材そのものの存在が、作品との対面という体験と不可分のものとなっています。

展覧会情報
タイトル:Slightly Elsewhere — 個展
会場: Polka Galerie(パリ)
会期: 2026年1月23日〜2月21日
オープニング: 2026年1月22日 午後6時
住所: Cour de Venise, 12 Rue Saint-Gilles, 75003 Paris, France