岡原功祐のシリーズ「Almost Paradise」(2013年制作)は、南米、特にコロンビア出身の移民たちが、パナマ、コスタリカ、ニカラグア、ホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラ、メキシコを経て、危険で困難なルートでアメリカを目指す姿を記録した作品です。

岡原は力強いモノクロ写真を通じて、移民たちの喜びと苦しみを捉えながら、彼らを単なるカメラの被写体として消費することなく、その存在に丁寧に向き合っています。

本書は独特な印刷技法で制作されており、その仕上がりはまるで銅版画を思わせるような質感を持っています。この技法により、移民たちの「失われた希望」のドラマが、より深く、物語として伝わってきます。

序文:ローランド・アングスト