世界報道写真賞2022受賞作品

レビュー
– Conscientious Photo Magazine (アメリカ)
– British Journal of Photography (イギリス)
– American Suburb X
– PHOTO (フランス)
– Fisheye Magazine (フランス)
– ニューズウィーク日本版 (日本)
– IMA Online (日本)
– 共同通信 (日本)

“繰り返される町での回想が写真家の夢に入り込み始め、現実から離れ夢に戻るよう彼を突き動かす”

“blue affair “は、写真家がコザという町で過ごした時間の夢をもとにした実験的な短編映像であり、写真集です。

コザで切り取られたイメージ。そこに、彼（写真家）は写っていなかった。撮影しているからというようなフィジカルの問題ではない。一方的にも、双方的にも、レンズを行き交う感情が見当たらない。まるで、そこにいなかったかのように。彼自身は浮遊していて、どこか遠くの高いところから俯瞰し、目の前で起きた出来事を見つめているかのように。ただ、そこには、温もりや悲しみのような人をまとう情緒がすべて削ぎ落とされたあとに残る、圧倒的な存在としてのイメージだけが、ストンッと写っていた。間違いなくその瞬間に、同じ場所で、同じ空気を共有しながらも、彼は一部ではなく、外側の世界から覗き込んでいた。

– 彼は確実に、夢の中にいた。

石川達也 / クリエイティブ・ディレクター
（本書解説より抜粋）