Kosuke Okahara

Shan state army soldiers practice marching at the military training camp. Shan state army is the biggest rebel group in Burma.
Shan state army soldier at the training camp. They spend 6 months training period before being deployed into the jungle of Shan state to fight.
Shan state army soldiers at the military trainng camp.
Shan state army soldier prepare for the training at the military training camp.
Shan state army soldiers petrify themselves as Col.Yawd Surk is reaching the military training camp. Almost all of people in Loi Taileng petrify themselves when they see Col.Yawd Surk.
A shan state army soldier taking a nap after the training at the military training camp in Shan state. Shan state army is the biggest rebel group in Burma.
Shan state army soldiers carry water from the river to the military training camp. They use water to generate electricity in the training camp.
Shan state army soldier wash they body after the trainng. They spend 6 months in the military training camp before being deployed into the jungle of Shan state.
Shan state army soldiers have fun to shoot the picture of Than Shwe, senior general of Burmese military regime.
Shan state army soldiers taking a brake during the patrol to the frontline between Shan state army and Burmese governmen army.
Sai Yawd Merng, a Shan state army soldier, had been a monk for 20 years. There are 30 to 40% of soldiiers who were monks.
Shan state army soldiers and Col. Yawd Surk play SepakTakraw after training. Shan state army is the biggest rebel group in Burma.
A shan state army watches Burmese government military camp located in the next mountain. Shan state army is the biggest rebel group in Burma.
A Shan state army soldier taking a nap after day-long training at the military training camp. Soldiers train 6 months before being deployed into the jungle of Shan state.
A shan state army soldier communicate with Headquaters from the frontline between Shan state army and Burmese government army.
Loi Taileng, headquaters of Shan state  army as well as the home of IDPs along the Thai-Burma border,

 

Rebels on the edge

– Burma’s Shan State Army –

夜も更け、月の光が窓から差し込む中、トゥン・イーが布団から這い出す音が聞こえた。「ちょっと彼女に会いに行ってくる。正確にはまだ彼女じゃないんだけど…」少し恥ずかしそうな声でそう言うと、トゥン・イーは迷彩柄の上着をまとい、気温10度を下回る寒空の下、勢い良く外に飛び出していった。

テレビの画面に映る僧侶たちのデモ。9月末、ビルマの首都で起こったデモの映像は、普段海外のニュースを余り取り上げない日本のテレビでも頻繁に放送されていた。高田馬場にあるビルマ料理屋を経営する一家の長女から、首都ラングーンでの民主化活動や、日本で難民申請に苦労しているビルマ人の話を聞いたことはあったが、それ以外の地域について、日本でニュースを聞くことはなかった。

ふと本棚に目をやると、大学時代にビルマに旅行に行った友人が買ってきてくれたみやげ物の人形が目に入った。カレン・カチン・カレニー・シャン…といった少数民族が色とりどりの衣装を着ている。そして、地方では少数民族に対する弾圧も後を絶たないという話を思い出した。翌日またテレビをつけると、僧侶に市民が加わったデモ隊に発砲するビルマ軍の姿。ニュースやワイドショーではしきりに日本人ジャーナリストについての情報が流されていた。東京の携帯電話に、ポーランドの雑誌から、日本人ジャーナリストについて知らないかという電話までかかってきた。

それから数週間して、「クン・サー死亡」というニュースがBBCのウェブサイト上に流れた。クン・サーは、ゴールデントライアングルと呼ばれるビルマ東部のシャン州でケシを栽培し麻薬王となり、その後ビルマ政府に投降して隠居生活を送っていた。みやげ物の人形の中にも、緑と赤の鮮やかな衣装をまとったSHANと書かれた少数民族がいたのを思い出した。首都以外で何が起こっているのだろうか。ネットでシャン州について検索すると、とあるウェブサイトがひっかかった。RCSS(Reconcile Comission of Shan State)。そこにはシャン州軍と言われるゲリラグループのコンタクト先が書いてあった。シャン族は46年間もビルマ政府と戦い続けている。そうとも書かれていた。

「シャン州軍について取材をしたい」

そのような内容のメールを送ると、翌日には返事があった。

「タイのチェンマイに着いたらここに連絡するように」

返信メールには、携帯電話の番号が書かれていた。

 

タイ国境

乾季で肌寒いチェンマイから車で数時間、タイ北部のパン・マ・パーという町にたどり着く。町はずれの民家で待たされていると、人の良さそうな顔をしたアーミーパンツにジーンズの上着といういでたちの浅黒い肌をした男が現れた。こちらを見て笑顔をみせ、「コップンカー(こんにちは)」とタイ語で話しかけてくる。コップンカーとつたないタイ語で返し、握手をする。すると彼が持っている携帯電話が鳴り、手渡された。

「ミスター・コースケか?彼がドライバーだ。今そこにいる数人と一緒にロイ・タイ・レンまで来てもらう。外国人は国境沿いのタイ軍の検問を通ることができないので、最後の30分は山道を歩いてもらう」

流暢な英語でそう話す声の主は、フィリップと名乗った。

 

トレーニングキャンプ

山道を歩くこと1時間、長い坂を下ると、突然景色が開けた。公立中学校の校庭のような土むき出しの広場。小さなバレーボールコートのようなものまである。薄汚れた軍服をまとった兵士が数人、広場の角で昼寝をしている。突然笛の音が響いた。すると広場を囲む林の中から次々に軍服姿の人の影が現れた。遠くから眺めているとまるでえさに群がる蟻のようにも見える。人の影は途切れることなく現れ続ける。300人以上はいるだろうか。兵士たちの背の低さもあり、まるで中学校の朝礼のようにも見えた。

「ここがシャン州軍のトレーニングキャンプだ。新しい兵士たちはここで6ヶ月の軍事訓練を受けたあと、ジャングルの中に配属されていく」

シャン州軍の歴史は10年前までさかのぼる。当時、麻薬王クン・サーが組織するモン・タイ軍の兵士だったヤウ・スックは1998年、クン・サーがビルマ軍政に投降したのを機にシャン州軍を組織した。クン・サーのしていたことは「シャン族独立を建前にした、麻薬ビジネスだった」と言う。クン・サーと共に投降することを拒んだ他の兵士たちと共に、ヤウ・スックはゲリラ戦を展開。徐々に新しい兵士を集め、シャン州軍をより規模の大きな反政府勢力へとつくり上げていく。現在のシャン州軍の兵力は約1万人。「3万人まで増やせば、今の軍政を攻撃することも可能になる。まだ時間がかかるが、不可能じゃない。今のビルマで銃を持たないなんて、自分の首を相手に差し出して、切られるのを待っているようなものだ」そう言うと手で首をかき切られる仕草を見せながら続けた。「何の罪もない農民たちが犠牲になっているんだ。銃なしで平和なんてありえない」

フィリップの本名はサイ・ヤウ・ムァン。少し太った人の良さそうな顔をした31歳の彼は、ゲリラになる前は僧侶だったという。「色々なところに住んだよ。ラングーンの寺院で働いて、それからバンコクの寺院にもいたことがある。スリランカの大学では国際関係について学んだんだ」英語はスリランカの授業で学んだという。「僧侶のままでも良かったけれど、自分の民族が弾圧されているのを知っていたから、黙っていることなどできなくてシャン州軍に加わったんだ」しかし、そういうフィリップは殺生を一切行わない。ゲリラ戦のためジャングルの中にいた時でさえ銃を持ったことがないという。「俺は自分の部隊を指揮するだけだった。僧侶だから武器は一切持ったことがない」多少都合の良い話に聞こえたが、確かに彼が人を殺す姿など想像できなかった。

シャン州軍のキャンプに住む多くの兵士たちは、学校に行ったことがないにも関わらず文字の読み書きができる。その理由をフィリップはこう語った。「俺と同じだよ。シャン州軍兵士の3~4割は元々僧侶なんだ。学校に行く金もないから、寺に入って勉強するんだよ。こっちじゃ良くある話だ。あとは皆農民だな」フィリップは殺生をしないが、その他の兵士は銃を持って戦っていた。フィリップは英語も喋れる上、教育も受けているので特別な存在だった。

 

18歳の兵士

訓練キャンプに暮らすゲリラ兵たちの中に、幼い顔立ちの兵士を見つけた。訓練を受けている兵士たちの中では少し背が高めだ。まだあどけなさの残る表情を引き締め、真剣に訓練に励んでいた。

「イチ・ニー、イチ・ニー」

訓練キャンプに掛け声が響き渡る。

薄汚れたユニフォーム姿に身を包んだ幼顔の兵士はサイ・シュエと言った。まだ18歳で、12月のシャン族の新年に、この訓練キャンプから卒業していくという。

これからジャングルの中で戦闘の日々が始まる彼に、恐くないのかと問いかけると

「全く心配なんかしていない。家族を苦しめたビルマ軍に復讐してやりたい。」

幼顔に似合わない鋭い目でそう言うと、訓練に戻って行った。